債権回収における強制執行について 強制執行の種類

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判決を貰ってもお金を返してもらえない、裁判で和解をして分割払いにしたのに支払いが滞っている、よくある話です。

そのような場面で検討すべきなのが、強制執行です。

強制執行とは、裁判所を通じ、支払いをしない相手方の財産を強制的に差し押さえる手続です。

強制執行は、判決や和解をした裁判所とは別の裁判所、いわゆる執行裁判所が担当します。

強制執行の種類

金銭執行・非金銭執行

強制執行には、大きく分けて、お金を支払わない場合に強制的に取り立てる金銭執行と、その他の権利を実現するために行う非金銭執行(例えば、建物の明渡しを求めるなど)に分けられます。今回は金銭執行についてお話しします。

代表的な金銭執行として、次の3つが挙げられます。

1 債権執行

その中でも最も良く用いられるのが、債権執行です。

債権執行とは、債務者が有する債権を差し押さえる手続です。

例えば、債務者が銀行に預金を預けている場合、債務者が銀行に対し預金を払い戻す権利(債権)を持つことになりますので、この債権を差し押さえる形になります。

預貯金を差し押さえるに当たっては、金融機関名のほか、支店まで特定する必要があります。

支店の所在まで掴んでいれば良いのですが、支店まで分からない場合には、弁護士会照会という調査方法を利用して、金融機関に照会を掛けます。

いわゆるメガバンクのような大きな銀行やゆうちょ銀行は照会に応じてくれますが、金融機関によっては応じてくれないところもありますので、事前に確認をした方が良いでしょう。

照会の際には現在残高も確認できますので、そもそも差し押さえをするか否かの判断材料にもなります。

また、第三者からの情報取得手続という調査方法によっても、弁護士会照会と同様に照会を掛けることが可能になりました。

この方法の良いところは、弁護士会照会のようにまだらに全店照会が可能なのではなく、全体的に全店照会が可能となる点です。

ただし、照会がされ、回答があってから1か月後に債務者にその旨通知がされてしまうため、その間に差し押さえに踏み切らなければなりません。

その他、重要な債権執行としては、

  • 債務者の取引先に対する売掛金債権に対する差押え
  • 債務者の勤務先に対する給与債権の差押え

が挙げられます。

売掛金債権に対する差押えについて

売掛金債権の差押えは、継続的な取引先への差押えが最も効果的です。

但し、そのような取引先を持つ債務者は、差押えによって取引先の信用を失いかねないので、差押えまで至らずに白旗を上げる場合が多いものと考えられます。

ご相談を承ると、債務者の取引先を把握していない場合が多いのですが、できれば、債務者と取引を始める前に、信用調査の一環として、債務者の取引先や商流を確認しておくのがお勧めです。

給与債権に対する差押えについて

給与債権の差押えは、個人債務者の債権回収において最も重要です。

債務者が弁済しない一番の理由は、当たり前ですが、金銭的に苦しいためです。

会社の場合は、台所事情が苦しくとも、事業を継続している以上、売掛金債権やキャッシュが、多かれ少なかれ、必ず存在します。

個人の場合も、台所事情が苦しくとも、働いているのであれば毎月の給与は入ってきます。

したがって、個人債務者の場合は、給与を差し押さえるのが最も確実です。

債務者の勤務先が分からない場合ですが、養育費や婚姻費用などの扶養に関する債権や、交通事故のような人の生命・身体に関わる損害賠償請求権を持っている債権者は、判決などを貰っており、かつ強制執行が上手く行かなかったなどの事情がある場合には、市町村や日本年金機構等に対し、債務者の勤務先を照会することができます。

2 不動産執行

不動産執行は、債務者の持っている不動産を強制的に売却(競売)し、その代金を取得する手続です。

注意すべき点としては、売却代金の配当を受けるのは、不動産執行を申し立てた債権者に限られない、ということです。

例えば、不動産に抵当権などの担保権が付いていると、担保権者が優先的に売却代金を受け取りますし、別の債権者も、一定の条件のもと、配当要求をすることで売却代金の配当を受けることができます。

また、不動産執行を申し立てるには、裁判所に少なくとも50万円以上の予納金を収める必要があります。予納金は、強制競売によって得られた代金から優先的に返却されますが、強制競売ができなかった場合(例えば、担保権者が売却代金を全て受け取ることになり、他の債権者が受け取れないことが予想される場合)には、予納金の大半が返ってこない可能性が高いでしょう。

まずは対象不動産に担保権が付いているか、付いているとして売却予想価格と残債務とどちらが大きくなりそうか、慎重に検討する必要があります。

3 動産執行

動産執行は、債務者の自宅などに強制的に立ち入り、そこで見つけた財産を強制的に差し押える手続です。

見つけた財産は、全て差押えできるわけではなく、差押禁止財産に該当する財産(例えば、生活に欠くことができない必需品(衣服、寝具、家具等)や66万円以下の金銭)については、差押えができません。

動産執行は、相手方が在宅していなくとも、強制的に開錠し、中に入り込んで行うことが可能です。

動産執行そのものは、差押禁止財産に該当する、またそもそも動産類を自宅などに置いていない、といった理由で、空振りに終わるケースが比較的多い印象です。

しかし、動産執行を契機に、債務者の思わぬ資産を発見する糸口になることもありますし、債務者に対して本気の度合いを見せることにもなりますので、持てる強制執行のカードとして検討の対象には必ず入れておきたい手続です。

まとめ

強制執行というと、債務者の財産を強制的に取り上げる、という漠然としたイメージはお持ちの方は多いと思いますが。

今回は、強制執行について、具体的に何ができるのか、どのような条件が揃えばできるのか、といった概要を説明させて頂きました。

実際に強制執行に掛かっていくためには、得られた情報を基に何ができるのか、逆にどのような情報を入手すべきか、など検討し、メリットやデメリットを天秤に掛けながら手段を講じていくことになります。

弊所では、強制執行の申立てについても多くの経験を積んでおりますので、債権回収にお困りの際には、是非一度、弊所にご相談を頂けますと幸いです。

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