債権回収のイロハのイ 未払いが生じた場合、まず何をすべきか?

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貸したお金が戻ってこない、取引先が代金を支払ってくれないなど、未払いに関する悩みを抱える方や会社は多くいらっしゃいます。

そのような場合にまず何をすべきか、今回は、これまでご相談を頂いた債権回収事案を一般化して、未払いが生じた場合にどうすべきか、解説していきたいと思います。

なお、あくまで一般的な手段に過ぎず、実際の債権回収の場面では、事案に応じてその他の手段も検討しつつ進めることになります。

1 支払いを催促する文書等を送付する

相手方に対し、文書等で支払いを催促する方法が考えられます。

それほど多くはありませんが、催促を受けて返済がされる場合もあります。

弁済期日が決められていない場合、支払いの催促をすることで遅延損害金が発生しますので、そのために内容証明で文書を送付する必要もあります。

相手方において支払う意思を示すのであれば、支払いについて合意文書を取り交わす段取りを組みます。合意文書は、できれば、支払いを怠った場合には裁判を経ずに強制執行ができる旨の条項を含ませた公正証書にするのが良いでしょう。

さて、債権回収を全うするには、この段階で、相手方の財布の中身を見極めることが重要です。財布の中身が期待できない、若しくは空っぽであれば、現時点での債権回収は難しいため、相手方の将来性(将来の回収可能性)を考慮して、とりあえず判決を取っておき、将来の強制執行のチャンスを待つか、それとも諦めるか、等検討することになります。

債権額がいくらなのかも重要なポイントです。債権額が少額、かつ回収の可能性が低いのであれば、弁護士費用を掛けてまで裁判等やるのは費用倒れになる可能性が高いので、諦めるとの選択肢も検討しなければなりません。

2 仮差押えを申し立てる

さて、1で解決すれば良いのですが、弁護士が介入して支払いを催促する文書等を送付しても、全く応答がないケースもままあります。

その場合、請求する金額や相手方の資力などを考慮して、仮差押えを行うか検討します。

仮差押えとは、名前のとおり、仮に相手方の財産を差し押さえる手続です。

仮差押えは、相手方の反論を考慮せずに行う強力な手続ですので、認められる場合、申し立てた債権者は、担保金を供託する必要があります。担保金は、仮差押えの対象となる財産にもよりますが、同財産の20%程度となります(財産の種類等によって差異があります)。

したがって、仮差押えは、①請求する権利について基本的に争いが無いケース(例えば、貸し付けたお金を相手方が返さないケースなど)であり、②担保金を供託する余力がある場合に行うのが一般的です。また、請求する金額が少額の場合は、掛かる費用との兼ね合いで手続に踏み込むか、ご検討を頂く必要があります。

また、仮差押えによって、相手方がギブアップして任意に支払う場合もありますので、使いようによっては、早期解決に役立つ手続ともいえるでしょう。

なお、仮差押えを行った後は、申し立てた請求者は、速やかに訴訟を提起する必要があります。これは、あくまで仮の手続であり、早くに確定させないと相手方に不利益が生じるおそれがあるためです。

3 訴訟を提起する

一般的には、支払いを催促しても支払わないのであれば、訴訟を提起することになります。

訴訟を提起してから判決を貰うまでは、争いがない事案でも3か月程度掛かります。

争いがある事案では、半年から1年くらいの期間を覚悟する必要があります。

訴訟を提起することで、裁判所が間に入り、和解で終結することも良くあります。

判決を得ることによって即債権を回収できるわけではありません。しかし、次に述べる強制執行を申し立てるためには、判決を得る必要があります。

4 強制執行

さて、判決を貰っても支払わない場合、ここからが債権回収の本番と言っても差し支えありません。

強制執行は、差し押さえるべき財産があることが前提です。

残念ながら、財産を持たない人間から取り立てることはできません。

債権回収をするに当たっては、1で述べたように、この強制執行を念頭に、まず差し押さえるべき財産があるか、相手方の財布事情をできる限り調査することが重要です。

個人であれば、相手方が職に就いているかどうか、をまず確認しましょう。

職に就いているのであれば、毎月の給料を差し押さえることが可能です。

財産調査は、弁護士においても行うことが可能です。

良くあるのは、弁護士会照会(弁護士が所属弁護士会を介して関係各所に情報の照会を掛ける)によって、金融機関に相手方の口座が有るか否か、有る場合にはその残高を照会する方法です。それ以外にも、種々の手掛かりから、相手方の口座等を割り出すことが可能です。

この財産調査(と強制執行)が、債権回収の肝になります。

財産調査の方法につきましては、また別の機会にご紹介したいと思います。

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